靴の試し履きの仕事。
唐突だが最近読んだ本の紹介をしたい。
ヴィルヘルム・ゲナツィーノ著
『そんな日の雨傘に』
46歳の寂寥を描く内容なのだが、
主人公の仕事が「靴の試し履き」。
これが興味を引き、読み始めた。
「縁をかがったタンニンなめし本革ボックスの磨き入りオックスフォードシューズ」とか
「高級品の靴はかならず黒か茶であるべき」とか
「フルブローグの靴とコードバンの靴をバッグから取り出し、
この二足がなぜ最上なのかについて、順々に説いていく。」等々。
この本の表現したいことにこの描写は重要ではないと思うが、
小説の中に出てくる靴についての言及は珍しいので、
読んでいて楽しかった。
主人公と年齢が近いだけに
内容の本質に迫ると身につまされる感はあるが、
興味のある方は手に取ってくださいませ。
ドイツ文学だけにエドワードマイヤーを履いて、
イエガーマイスターでも飲みながらまたいつか再読したい。